【暗闇を追いかけろ】 できました。
五月頃、推理作家協会編の最新ベスト・ミステリー本に【すまじき熱帯】を収録したい旨の問い合わせがあった時には何かの冗談かと思った。
この【すまじき熱帯】というのは頭のおかしな父と東南アジア某国へ人殺しのバイトを厭厭しに行く青年のまんだらけ譚なのだが、どう頭を捻っても【ベスト】でないことは勿論だが、【ミステリー】でもない。当初、これを初出した【小説宝石】でも「解けない謎を解く!」というような冠で他の作家の方々と並べられたのだが、多くが謎解き、またはミステリーであったのに対し、【すまじき…】だけは解けない謎がなかった。というか、これがそこにいる事自体が【謎】だったのである。
まったく選出してくださった笹川吉晴氏の頓知には感謝の言葉もない。
と、このような豚児の短編ではありますが、お手空きの方は書店の陰でこっそりと開いて戴ければ幸い。ついでに目立つところに戻して戴ければ幸甚、家にお持ち帰りに成って戴ければ感涙という順序になっております。m(__)m
おとつい福澤徹三氏と飲んだ折、【花椒】が都内でも手にはいると聞き、喜ぶ。
食べ物で舌がびりびりしたり、麻痺したりできるなんて素晴らしいスパイスだ。ちなみにドラッグとはスパイスを固形にしたもので、粉末だとスパイス。ドラッグはダサいから、みんなスパイスにしてカレーか何かにぶち込めばよいのに…。
ふたりでスコビルとブレアの午前シリーズで盛り上がる。
鬱々とした気分を吹消すためにも辛い料理屋を制覇してみたいものである。
P.S
推理作家協会編 最新ベスト・ミステリー
【暗闇を追いかけろ】 ホラー&サスペンス編
明野照葉【古井戸】
飯野文彦【人こひ初めしはじめなり】
五十嵐貴久【ぽきぽき】
石田衣良【ラストコール】
岩井志麻子【夢想の部屋】
小沢章友【刺青の女】
乙一【Closet】
北森鴻【憑代忌】
鯨統一郎【アトランティス大陸の秘密】
倉阪鬼一郎【昭和湯の幻】
柴田よしき【願い】
西澤保彦【印字された不幸の手紙の問題】
馳星周【DRIVE UP】
豚児【すまじき熱帯】
福澤徹三【不登校の少女】
物集高音【疥】
森福都【妬忌津】
編纂序文【闇を!もっと闇を!】笹川吉晴
濃密な憂鬱
ちっとも進捗しない仕事のプレッシャーに長くさらされていると性格が極端に捻じ曲がってくる私だが最近とても嬉しい事に、はっきり【これは反吐が出るほど嫌いだ】と胸を張って言えるものを見つけたので忘備的に記す。
一、フジワラノリカがついてくるという賃貸屋のCM
【実際にはついてきません】とテロップの但し書きがつく。
こうしたことを平気でしてしまう企業体質なのであるから他の条件が正確であると期待できないし、あのCMを見て決めるようであれば白痴的なミスである。
というよりか、紀香よ、おまえはどこへ行くのだ?
二、Bookoffの地獄の【いらっしゃいませ!こんばんわ】リフレイン。
図書館を始めとして読書人が集うところは大概、静粛がモットーなのではない か?あの鸚鵡の連呼のような奴隷マニュアルは辞めて、もっと接客をきちんとするとか1500円で既に売られているDVDに2400円などというセコハン屋の風上にもおけないミスを是正して欲しい。図書館警察に通報しましたから。
一般書店もブクオフに客を取られたとか言って泣くぐらいなら、おまえらもコミックの立ち読み解禁しろ。
でも、自分の本を100円コーナーで発見すると哀しくなりますから…切腹!
でえやもんどとクリスタル
駅前に〈いまなら半額!半額!〉とやたら声のでかいインチキ宝飾品屋台が出ていて
品が良いのか慇懃無礼なのか不明なワイシャツ姿の若者が手をメガホンにして怒鳴り散らしていた。
口から金歯銀歯がこぼれ落ちるようなオバたちが糖尿患者の小便にたかる蟻のように集まっていた。
【クリスタル。アッと驚く二万!】というポップの前に水晶の首飾り。
下品なほどにでかい水晶がぶらさがっている。
すると店員がさらに巨大な声で〈三つで一万円!〉と叫ぶ。ババの輪の中でどよめきが起こる。
「これも?これもみっつで一万円になんの?」とババはクリスタルを指差す。
「いいえ。それは別になっております」
「これもこれもみっつで一万円にしてぇ」
「申し訳ございません。こちらは別途になっております」
などという、ババと店員のやりとりの間に〈全身ホームレス〉とおぼしき、というか臭いだけで丼三杯は戻せるようなオヤジが紛れ込み、クリスタルの前に立つ。
「ねえ?ねえ?これ、でえやもんど?」
店員は始めこそ無視をしていたが、常軌を逸したホームレス・リフレインに押し潰される。
「そこに書いてあるとおりです」
「ねえ。でえやもんど?」
「書いてあるでしょう」
「でえやもんど」
「クリスタルです」
「いくら?このでえやもんど、いくら?」
「書いてあるとおりです」
「いくら?いくら?この、でえやもんど」
「二万円。クリスタルです」
「二万円?二万円で買えるのか、安いなこのでえやもんど」
知のブラックホールと化した男はなぜか突然に横のババにキスをしようと唇を手向け掛けるが、ババの惨殺熱視線に撫で斬りされ、不発。
とぼとぼと階段の定位置に戻っていく。
私も喉まで「ねえ?このでえやもんど、いくら」と言いかけたが、まだ殺されたくなかったので指をくわえて帰宅した。
…俺のいくじなし。
電柱と女教師
読書中。
- 作者: 川端康成,川端香男里
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 1995/06
- メディア: 単行本
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川端康成が愛したハンセン病作家の血涙の一作。
ハンセン病棟内の様子、絶望の淵に立たされた人々の心情が凄まじい。
仕事:『ぼりびあの猿』←大変なことになってしまった。自分でも呆れてしまう。
電信柱に『声をかけてください』という落書きがあるのを発見。
「はて、なんと声をかければよいのだろう」と立ち止まっていると真向かいの
家のなかで、しきりに手を振る老人が見えた。
どうやら「よせよせ」と教えているらしい。
今日はしなかったが、そのうちに声をかけるつもりではある。
『悪魔のKISS』を資料的に眺める。
おまけ
十八年ぶりに老女教師に叱られた一日。
またこんなことを…
始めてしまった・・・ (゜O゜;)
午前中、Bookoffに行くだけで終わってしまった。
なんということだろう…。
「超」怖い話の解説も今日中であり、『超怖/携帯版』の原稿も今日中であり、
『幽2』も今週中であり、『ぼりびあの猿』は今日中に五十枚まで進まなければならないのに…。
愚図
このひと言ですべて済んでしまう一日であったのか?
Bookoff以外に行った事。
隣人と共に隣家の犬の糞を私は五つ、彼はふたつ拾った。
う〜む。
中島らも『僕に踏まれた町と僕が踏まれた町』が面白い。途中までだが
『アマニタ・パンセリナ』が良かったので読んでいる。
私は人が憂鬱になった話や絶望した話や気が触れそうになった話が好き。
やはり病んでいる。